第10回文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門受賞者シンポジウムレポート

次に「作り手が“いま”を表現した」ことについて富野氏は劇中のセリフに言及。「付き合いたい」という言葉のやり取りから、若者のセクシュアリティを無批判に受け入れる“風俗映画”になってしまう危険性を指摘しました。「現象を捉えるだけではなく、ティーンエイジャーたちが取り囲まれている社会性のような、もうひとつ大きなつくりを見せて欲しい」という富野氏に対し、「良い意味で幻想を排除していて、ほかのフィクションだけで構築しているものにくらべて遥かに健康的にみえた」と評価する樋口氏。ドラマの作劇に対する両氏の見解について意見が交わされました。

富野「『時をかける少女』を風俗映画だと言わざるを得ないのは、いまの子たちの肯定論しかなくて、大人たちが高校生たちに擦り寄っているのだけの視点しか見えてこないから。これからオスカーを取っていこうという皆さんの世代がやる仕事というのは、もうちょっと社会性があっていいんじゃないかな」

文化庁きれいにまとめたな。
(シャア専用ニュースから)